「研究企画総括(社会)」 法政大学拠点 菱田雅晴

“未曾有”ともしばしば形容される中国の著しい経済成長から、現代中国社会にも瞠目すべき大きな社会変動が発生しています。

先ずは、その経済発展が大規模且つ急激なところから、社会領域の変動もこれまで中国社会が経験したレベルを遥かに超出することになります。かつての「四世同堂」といった拡大家族から核家族化への世帯構造の変化はひとびとの人間関係そのものを変え、基本単位としての家族構造から中間集団、階級・階層構造そして社会意識に至るまで、《豊かさ》に彩られた今日の中国社会が、かつての、例えば改革開放が始まった1970年代末の中国社会と同じものとは到底思えぬまでの劇的な変化を示しています。改革開放政策と同じ歩みの一人っ子政策によるデモグラフィックな構造変化と共に、インターネット技術/手段の浸透による新たなバーチャル「公共領域」の誕生は、NGO/NPO組織の簇生とも相俟ってひとびとの政治に対する“まなざし”をも大きく変えてしまいました。

更には、経済の歩みが決して一様ではなく「まだら状」に進んで来ているところからは、中国社会の変動も重層的にして、相異なる中国社会のさまざまな顔貌が同時に窺われることになります。物理的な地域移動と目に見えない階層移動は、かつて固定的であった中国社会に激しい流動性をもたらしています。“現代化”の精髄を享受する地域とヒトが着実に増え、更にはモダン社会を超え、ポストモダン情況、IT情報社会の世界最先端を象徴するような中国社会もあれば、その一方で前世紀と何ら変わらぬ旧中国、伝統中国をも裡に含むこの多面体中国を「一つの主語」で語ることには逡巡を覚えるほどです。

まさしく社会学のあらゆる研究関心事項に対し、現代中国社会は恰好の研究フィールド を提供する誠にエキサイティングな研究領域ともいえましょう。

こうした現代中国社会研究の醍醐味と真骨頂を発揮すべく、研究企画総括社会担当としては、各拠点は固より、国内外の研究者、研究機関と連携し、中国社会の学際的研究を推進するための結節点としての役割を果たして行ければと願っております。