「研究企画総括(環境)」 総合地球環境学研究所拠点 窪田順平

GDPで世界第2位となった中国は、現在世界的に見ても経済的な豊かさ、という意味ではそれを一番実現しつつある国かも知れません。その一方で、経済成長と引き換えにさまざまな環境問題を抱えていると言われます。各地で深刻化していると言われている大気や水の汚染、洪水や水不足、砂漠化といった、どちらかと言えば国内にとどまる問題ばかりではなく、既に2000年代後半にはアメリカを抜いて世界排出量の20%を超える最大の二酸化炭素排出国となったように、地球環境問題においても中国の動向が大きく影響する時代となっています。世界に対しては、生産効率(エネルギー消費効率)を上げることでGDP 当たり二酸化炭素の排出量を減らす数値目標を公約として掲げ、それを達成しつつある一方、生活水準の向上によって1人あたりの二酸化炭素排出量は増加し、すでに北京や上海などの都市部では世界で最大になっており、経済成長と生活向上が環境問題を引き起こしているといっても過言ではありません。

人々が豊に暮らしたいという欲求、すなわち広い意味での人間の文化そのものが環境問題の原因であることを考えれば、近年の中国は確かに地球環境問題の縮図です。その問題解決への試みは、国際的な課題とも言えます。これまで農村から都市への安価な余剰労働力の供給により経済成長を果たしてきた中国では、少子高齢化にともない、労働力が供給不足に陥る可能性が論じられはじめています。一方で、経済成長の基盤である国内の自然資源も不足しつつあり、安価な労働力と資源とを求めて国外での開発が展開し、中国の環境問題がグローバル化する状況となっています。環境問題は単に環境技術、環境政策の問題ではなく、政治・経済・社会・文化と極めて深く関連した重層的な問題です。現代中国各拠点および国内外の研究者・研究機関と連携し、中国の環境問題に関して学際的研究を推進するための結節点としての役割を果たしていきたいと考えています。