「編集企画統括(中国語ジャーナル)」 早稲田大学拠点 劉傑

対外発信は現代中国地域研究の研究活動の重要な柱である。

日本の中国研究は歴史的に長い伝統と豊富な蓄積があり、中国の改革開放とともに歩んできた現代中国研究も中国や世界の中国研究に計り知れないほどの大きな貢献してきた。

個々の研究者は日頃の研究活動のなかで、研究成果を部分的に中国と世界に紹介してきたが、日本国内におる最新の研究成果を日本語以外の言語で世界に紹介する媒体は今まで存在しなかった。このことは世界の中国研究にとって極めて残念なことである。

現代中国地域研究がスタートした頃から、この状況の改善を目指して入れてきた。英語版の年報や、中国での出版など、様々な可能性を探ったが、すぐに実現できることから始めようという毛里和子研究代表(当時)の判断で、まず世界の中国問題専門家を対象にした、中国語による『日本当代中国研究』の編集とウエブ公開をスタートさせた。

しかし、政治外交、経済環境、文化歴史など各分野の最新の研究成果を網羅した年報を翻訳、編集するのは容易なことではない。東洋文庫、東京大学、慶応大学、京都大学、総合地球環境学研究所、愛知大学、法政大学及び早稲田大学の各拠点から、最新の研究情報を把握している編集委員が参加し、この事業を支えてきた。今まで合計三巻の編集、翻訳と公開を行ってきた。四巻目の翻訳、編集作業がすでに完成し、第五巻の作業も佳境に入っている。

この情報発信の成果に対する評価は、海外からも届いている。中国を代表する学術書の出版社から、既刊の『年報』をテーマごとに分類した論文集の出版について打診を受けている。天児慧研究代表のリーダーシップで、各拠点の協力を得てこの事業も推進されるだろう。日中関係が難しい局面を迎えている現在、日本の研究成果を継続的に発信することの意味は極めて大きい。

この成果発信の事業は、多くの翻訳者のご尽力によってはじめて可能になった。彼らの努力に心より敬意を表したい。